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編集者のアンテナ

東京大空襲--「戦争」のほんとうのすがたを

東京書籍    小島 岳彦
2014年12月発行 会報第14号より
東京スカイツリーがいま立っている、まさにその直下で起きた実話をもとにした絵本で、本書について報じた新聞やテレビの記事のほとんどに、スカイツリーをバックにした、著者のふたりが写っています。
 スカイツリーのある現在の風景からはほんとうに想像できませんが、一九四五年三月十日の東京大空襲で、東京では約十万人がなくなりました。世界最大の空襲被害です。
 本書の主人公の六歳の千恵子さんは、燃え盛る炎のなか、母親がからだにかぶさり、そのために助かりましたが、母親は焼死しました。そのときのことをありのままに絵本にしました。
 本の巻末にも解説として記しましたが、東京大空襲がそれまでの空襲と決定的に違うところは、それまでの空襲が軍事施設や軍需工場を目標にしていたのとは違い、最初から、一般の人間の殺傷のみを目的におこなわれた空襲であったことです。
 これはもちろん当時から国際法上の違法でありあきらかな戦争犯罪でしたが、戦後そのことが世界的に問題にされることはほとんどありませんでした。
 それどころか、戦後日本政府は、東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイ将軍に、いろいろ経緯があって勲一等の勲章をさずけています。
 そのことも、『せんそう』の読者にむけ、わかりやすく記してあります。
 主人公の塚本千恵子さんは老齢となり、息子さんのやすしさんが、ぜひその体験を残しておきたいと本にしたものです。
 「戦争」のひとつのほんとうのすがたというものを本に出来たと思っております。おかげさまで多くの図書館さんからたいへんな反響をいただきました。

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